防犯対策ガイド

空き巣・泥棒はどこから入る?リスクを排除するための防犯対策ガイド

あなたの大切な財産を「盗もう」と考える卑劣な犯罪者が、現実にいます。

平成29年版犯罪白書によりますと、平成28年の一年間に起きた侵入窃盗の被害件数は76477件。1日当たり約210件もの被害が発生しています。これは決して他人事ではありません。実際に被害に遭われた方も、まさか自分が被害に遭うとは思ってもみなかったでしょう。

外出先から帰って来たら部屋が荒らされていた、寝ている間に物が盗まれた、中には犯人によって暴行を受けるケースも…。

卑劣な犯罪から私たちの財産や身の安全を守るには、一体どうしたら良いのでしょうか?そこで今回は、犯罪被害のリスクを排除するための防犯対策をご紹介いたします。

 

「窓」を意識することでリスクはグッと下がる 防犯の基本は“これ”

 

侵入窃盗のほとんどが、窓から侵入されています。私たちはまず、犯人の多くが窓から侵入して来たということを知っておくべきでしょう。では、なぜ犯人は窓から侵入することができたのか。その答えは極めて単純で、「窓に鍵がかかっていなかったから」です。

「なんだ、そんなことか」とお思いになった方もいられるでしょう。しかし、私たちはこの一見当たり前のことを当たり前にできていないと認識する必要があります。だからこそ実際に空き巣の被害に遭っている方がいらっしゃるのです。

あなたは部屋を空ける時に必ず窓に施錠していますか?例えばコンビニへちょっとした買い物に出かける時、例えば友人からの急な呼び出しで出かける時、あるいはトイレに行く時、お風呂に入る時など。それらの場面で「必ず窓に施錠してから部屋を空ける」と答えられる人が、一体どれだけいるでしょうか。

窓に鍵をかけるのは防犯の基本です。この当たり前のことを当たり前に行う事で、空き巣被害のリスクはグッと下がります。

犯人の多くは窓から侵入しています。つまり、窓から入って来られなくなるようにすることが防犯に繋がるのです。人が出入りし難くなるように窓の近くに家具やぬいぐるみを置くのも防犯の効果が見込めます。外から見て「ここからは入れないな」と思わせる事が大事です。

空き巣被害に遭うかどうかを左右する大切な要素が「窓」であることを、強く意識しましょう。

 

マンションの2階から上は安全?いいえ、実は狙われやすいのです

 

よく「1階は危険」という言葉を耳にします。では2階から上の階に住む人たちは安全なのでしょうか?元空き巣犯で、過去の自身の手口を元にした防犯本を出している田岡大介さんという方は「高層階は狙いやすい」と言っています。2階より上の階に住んでいたとしても決して安全ではなく、むしろ狙われやすいのです。

では、なぜ高層階は狙われやすいのでしょうか?その答えはやはり「窓」にあります。マンションの高層階に住む人たちは「まさかここから誰かが入って来ることはないだろう」と、窓に鍵をかけていない場合が多いのです。前述の通り、多くの場合、空き巣犯の侵入口は窓です。住人が「大丈夫だろう」と油断する事を、空き巣犯は期待しています。そして油断している人を目ざとく見つけ、部屋を空けている間に鍵がかかっていない窓から侵入し、犯行に及ぶのです。

「外から見ただけで鍵がかかっているかどうかが分かるの?」と疑問に思われるかもしれません。しかし空き巣犯には「分かる」と思った方が良いでしょう。なぜなら空き巣犯は窓を見たその瞬間で判断するのではなく、必ず下見を行うからです。

部屋の窓が開いている。その部屋の住人が出かけた。即ちこの部屋の住人は出かける時に窓に鍵をかけない。空き巣犯はこうした入念な下見を行った上で、犯行に及びます。

マンションの高層階に住んでいても決して油断してはいけません。むしろ油断する人が多いからこそ「狙われやすい」という認識を持つことが防犯に繋がるでしょう。

 

玄関でできる防犯対策 「鍵をかける」以外にできること

 

空き巣犯の主な侵入口は「窓」だと前述致しました。では玄関はどうでしょう?玄関は鍵をかけておけばそれで十分な防犯対策と言えるでしょうか?答えは「NO」です。鍵をかける以外にも玄関でできる防犯対策はあります。

空き巣犯は必ず下見を行います。下見で集めた情報を元に、犯行に及ぶタイミングを見定めます。そのタイミングはもちろん、住人が留守にしている間です。ではどうやって留守かどうかを確かめるのか。それが玄関なのです。

驚くべきことに、空き巣犯は堂々とインターホンを鳴らします。住人が留守かどうかを確かめるために、玄関に行き、インターホンを鳴らすのです。これは犯行前に行う重要な確認作業です。つまり、侵入口が窓であっても、空き巣に入るためには玄関を経由する場合が多いということです。

空き巣犯は自分の姿を見られることを嫌います。もし玄関に防犯カメラが備え付けてあったら、その防犯カメラの記録映像に自分の姿が残ってしまうことを恐れるのです。下見の段階で玄関に防犯カメラを見つけたら、その時点で空き巣犯が「ここは無理」と諦める確率が上がります。

実際に防犯カメラを設置するのが玄関でできる防犯対策としてベストですが、高価な物ですのでダミーの防犯カメラを設置するという方法もあります。これでも防犯の効果が見込めます。大事なのは空き巣犯に「ここは無理」と思わせる事。庭があるお家であれば犬を飼うのも良いでしょう。

 

一人暮らしは狙われやすい 自分の財産を守るのは自分

 

まず知っておかなければならないのが、一人暮らしは家族が住む住宅と比べ、圧倒的に「住人が留守にしている時間が長い」という事です。

家族が住む住宅であれば、仕事や学校の時間帯でも母親が家にいる場合があります。母親が買い物に出かけても子供が留守番をしている場合があります。しかし一人暮らしの部屋は、基本的に一人外出したら留守が確定してしまうのです。

空き巣犯は下見の時にあなたの生活パターンや行動パターンを観察しています。部屋の電気が点いているか、カーテンが掛かっているか、話声がするか、音楽が聞こえるかなど。こういった様々な情報からあなたが部屋にいるかいないかを判断し、例えば「何曜日のこの時間帯は留守」といったパターンを見付け、犯行に及ぶのです。

防犯対策としては、まずは基本的な「施錠」を徹底すること。窓周りに物を置いて「入り難そうだ」と思わせるのも防犯の効果が見込めます。また、生活パターンを読まれないように工夫することが防犯対策となります。部屋にいる時は必ず大音量で音楽を流すという人もいますが、これでは部屋にいる時といない時の違いを外に知らせているようなもの。部屋にいる時と、留守の時。その違いがなるべく分からなくなるようにする事が防犯に繋がります。多少もったいないですが、部屋の電気を点けたまま出かける日を設けても良いでしょう。

 

女性の一人暮らしが一番危険 まず“知られないこと”が大事

 

一人暮らしの中でも、女性の一人暮らしはより犯罪被害のリスクが高いと言えます。空き巣犯は、もし住人と鉢合わせても、相手が女性であれば力で勝るから取り押さえられる事は無いと考えます。更に、女性の方は、空き巣被害のリスクだけでなく、女性への暴行目的で部屋に侵入しようとする人間が世の中にはいるということを忘れてはいけません。これらの事情から、女性の一人暮らしの部屋は、男性の部屋と比べ狙われやすいのです。

防犯対策としては、外から見て「女性の一人暮らしだ」と分からないようにする事が肝心です。繰り返しになりますが、犯罪者は多くの場合、下見をします。その下見の段階で「この部屋は女性が一人暮らしをしている」と分かってしまったら、その時点でリスクが上がります。逆を言うと、女性の一人暮らしである事を分からないようにすることが防犯になるのです。

あなたは洗濯物を外に干してはいませんか?女性用の下着が外から見えると、一目で部屋に女性が住んでいると分かってしまいます。部屋のカーテンは何色ですか?例えば部屋が2つ並んでいて、片方の部屋は地味なデザインで落ち着いた色のカーテン、もう片方の部屋は可愛らしいピンクのカーテンだったとしたら、狙われやすいのは間違いなくピンクのカーテンの部屋です。

私たちは気付かない内に自分の個人情報を外に漏らしてしまい勝ちです。洗濯物は男性用の下着も一緒に干す、または内干しして外に出さない、カーテンは地味な落ち着いた色を選ぶなどして防犯対策をしましょう。

 

最初から高い防犯効果を備えた物件 空き巣犯が嫌がる「人目」

 

物件自体にも、空き巣犯に狙われやすい物件、逆に狙われにくい物件があります。これからお部屋探しを始める方にご参考にして頂きたいのはもちろんですが、既にお引越しを終えた方、あるいは自宅に住んでいるという方にも、ぜひ知って頂きたいです。自分が住む物件がどれだけ危険か、または安全かの判断材料にして頂けたらと思います。

空き巣犯はとにかく「人目」を嫌がります。留守宅の窓から侵入するのも、部屋の中を物色するのも、人目が無いからこそできる事です。逆を言えば、人目があればそれだけで防犯の効果が見込めると言えます。

人通りの多い道路に面した建物は人目が多く、比較的狙われにくい物件と言えます。ただ、それだけでは決して安心はできません。学生に紛れることができる大学の近くや、空き巣犯が逃走しやすい駅の近くは、人通りが多くても逆に狙われやすい物件になってしまいます。また、建物の裏に回った時に、植木や隣接する建造物などで死角ができてしまう場合も危険です。いくら人通りが多くても死角があればそこが空き巣犯の侵入口となってしまいます。

目につかない場所が侵入口となりやすいので、家にある窓の配置は全てチェックしておきましょう。そして死角になる場所の施錠を徹底する事が大切です。人通りが多くて人目につきやすく、死角になるような裏口も無い。こういう物件はそれだけで高い防犯効果が見込めます。

 

長い間家を留守にする時に有効な防犯対策

 

旅行や出張などで長い間家を空ける機会もあるかと思います。長期の留守はより厳重な防犯対策が必要です。なぜなら、住人が長く部屋を空けるタイミングを空き巣犯は待っているからです。現にゴールデンウィークや年末年始といった長期休暇は、空き巣の被害が増えます。では、長い間家を留守にする時には、一体どういった防犯対策をすれば良いのでしょうか?

大事なのは、なるべく留守だと感じさせない事です。例えば郵便受けに新聞が溜まっていると、空き巣犯じゃなくても一目で「長い間家を留守にしている」と分かります。あるいはカーテンがずっと閉めっ放しであったり、部屋が暗いままであったり、自家用車を所有する家の車がずっと車庫に無い状態であれば、それらも長期の留守だと知られてしまう材料になります。

防犯対策として、留守中は新聞の配達を止めるよう手配しましょう。あえて玄関やリビングの電気を点けっ放しにしておくのも防犯の効果が期待できます。自家用車をお持ちであれば、車は置いて電車で移動するのも良いでしょう。

市販されている様々な防犯グッズも有効です。人を感知して点灯するライト、防犯ブザー、防犯カメラなどは、空き巣犯が嫌がる物ばかりです。防犯カメラはダミーでも防犯効果が見込めます。空き巣犯に「人がいそうだ」「侵入が難しそうだ」と思わせることが大事です。

 

防犯対策に役立つ「知っておきたい犯人の“心理”」

 

防犯対策には、空き巣犯の側から見た視点を考慮することもとても大切です。「もし空き巣に入るならどの家にする?」「どうやって侵入する?」そんなことは考えたことも無いという方がほとんどだと思われます。しかし、防犯対策を立てる上で、空き巣犯が何を考え、何を恐れているかを知ることは、とても有用です。

空き巣犯は当然、「絶対に捕まりたくない」と考えています。テレビや漫画、映画などで見る、悠々と窃盗を行う犯人の姿は、現実と大きく異なります。実際には、空き巣犯は犯行中も「住人が帰って来るのではないか」とビクビクしながら部屋を物色しています。そのため、人目や物音、気配などに非常に敏感です。

空き巣犯は人目を非常に嫌がります。侵入する所を見られたくないのはもちろん、侵入後もどこかから見られているのではないかと恐れています。大きな音を立てないように注意を払います。ひょっとしたら別室に誰かいるのではないかと、人の気配がすることを怖がります。だから、人目・物音・気配に非常に敏感なのです。

こういった空き巣犯の心理を突いて、犯人が嫌がるものを用意しましょう。人目につかない死角になる場所に窓があるのなら、その窓の施錠は必ず行いましょう。防犯カメラはダミーであっても人目を嫌がる空き巣犯にとっては嫌な物です。物音を嫌がるので侵入者を検知する防犯ブザーも有効です。「部屋に人がいるのかな?」と思わせるために、外にうっすら聞こえる程度に音楽をかけたまま出かけるのも防犯対策となります。

 

お金はかかるけど効果は抜群 理想の防犯対策「ホームセキュリティ」

 

もしお金に余裕があるのなら、ホームセキュリティの導入を検討するのも良いでしょう。警備会社との契約内容にも依りますが、空き巣や強盗の侵入を検知し、警備員を派遣してくれます。その一番のメリットは、仮に侵入を許しても大切な物を盗まれる前に警備員が駆けつけてくれる可能性が高いという点です。

ホームセキュリティは基本的には「何かあった時に対処してくれるシステム」です。例えば侵入のしやすさが同じでも、侵入を許した後の対処が違えば、遭う被害の額や規模は大きく異なります。空き巣犯のリスクやデメリットを増やすことで、犯行を諦めさせる。これが防犯に繋がります。

ホームセキュリティを導入していると分かるシールやステッカーは、目につく場所に貼るだけで防犯効果が期待できます。それを見た空き巣犯が侵入を諦めるからです。ただ、ホームセキュリティを導入する事で「この家の住人は金持ちだ」と思われてしまい、逆に狙われる場合もあります。その場合は、侵入を検知した時に警備員が速やかに現場に到着する事が大事です。理想は5分以内。契約の時に「侵入を検知した時に警備員が何分で到着できるか」をしっかり確認しておきましょう。

一番のデメリットとなるのはやはり料金でしょう。もちろん警備会社や契約内容に依りますが、レンタルでもマンションであれば大体58万円、戸建てであれば大体10万円程度の初期費用がかかります。更に毎月レンタル料を払わなければなりません。決して安いとは言えない費用がかかりますが、料金に見合った効果は十分に期待できると言えるでしょう。

 

SNSで防犯意識が低すぎる人が多発?投稿が犯罪被害を呼び込む場合も

 

Twitterやインスタグラム、FacebookLINE、ブログなど。今やSNSは私たちの生活に欠かせないものとなっています。気を付けなければならないのが、こういったSNSへの何気ない投稿が犯罪被害を呼び込んでしまう場合があるということです。

窓から外を眺めたら、綺麗な虹が架かっていた。それを美しいと思い、写真を撮り、SNSに投稿する。このような日常の気になったものを写真に撮りSNSに投稿するという行為は、決して珍しいことではありません。しかしそういった何気ない投稿が原因で、写り込んだ建物や看板など、様々な情報から住んでいるマンションが特定されてしまったという方が実際にいます。

住所だけではありません。例えば一人暮らしである事、例えば家族構成、例えば旅行のスケジュールなど。不用意に個人情報をさらけ出す投稿をすることによって、「あの部屋は一人暮らしの人が住んでいて、住人は旅行中で留守にしている」と空き巣犯に知られてしまうリスクがあります。

SNSは不特定多数の人が閲覧可能なものです。その中には他人の財産を盗もうと考える卑劣な輩が混じっているかもしれません。SNSに画像を投稿する際は、そこに何が写っているかを十分に注意することが防犯に繋がります。

 

まとめ

 

侵入窃盗の被害は、決してどこか遠い場所で起こっている自分とは関係の無い世界での話ではありません。自分の部屋も、いつ空き巣や強盗に入られるか分からない。そういった危機感を持つことが、防犯対策の第一歩となるでしょう。

玄関に鍵をかけるだけでは十分な防犯対策とは言えません。多くの場合で空き巣犯の侵入口が「窓」であること、マンションの高層階は逆に狙われやすいということ、一人暮らしの女性は特に危険だということ、SNSが犯罪被害の呼び水になる場合があるということ。これらを十分に理解し、それぞれに応じた対策をしっかりと立てる事で、犯罪被害に遭うリスクを大幅に下げることができます。

あなたの財産はあなたのもの。他の誰かが卑怯な手段を使って奪って良いものではありません。大切な財産を守るために、しっかりとした防犯対策を立てるようにしましょう。