今から18年前、平成12年のピッキングの年間被害件数は「29,211件」にもおよびました。
当時の一般的な住宅で広く流通していた鍵穴が、ピッキングによって簡単に開けられるタイプのものだったからです。
それからはピッキングができない防犯対策の高い鍵穴を使っている住宅が増えたことから被害は激減し、平成28年には年間で「58件」と99.8%も減りました。
しかし、だからといって安心してはいけません。
ピッキングが容易な昔ながらの鍵穴をそのまま使っていたら、いつ被害にあってもおかしくないのですから。
あなたの家の鍵穴は、18年前のままではないですか?
今回は、あなたの家が被害にあわないように、ピッキングの対策についてご紹介していきます。
かつて広く流通していた「ディスクシリンダー」は1分でピッキングされる
空き巣の被害が多発した平成12年当時、日本の多くの住居で使われていたのが「ディスクシリンダー」という鍵穴です。
「シリンダー」とは、鍵穴のことを指します。
ディスクシリンダーは「く」の字型の鍵穴で、これに対応する鍵は両側がギザギザの形状をしています。
ディスクシリンダーは構造が非常に単純なため、知識のある人ならピッキング用の器具を使って、1分とかからず鍵を開けてしまうでしょう。
なお、このディスクシリンダーは今現在、製造されていません。
理由は複数ありますが、1つは簡単にピッキングされてしまうものだからです。
そのため新築の戸建てやマンション、アパートなどに住む人たちの家に、このディスクシリンダーが使われていることはないので安心してください。
問題なのは、このディスクシリンダーが使われている家に住んでいる人たちです。
特徴は先ほどお伝えしたので、玄関の鍵穴と鍵を確認してみてください。
もし、あなたの家の鍵穴がディスクシリンダーだったのなら、これから紹介する方法ですぐに対策しましょう。
ディスクシリンダーを使っているご家庭は、鍵を「ディンプルキー」に変えましょう
鍵穴にはディスクシリンダーの他にも色んな種類があり、鍵穴の構造が単純なものほどピッキングで鍵が開けやすく、構造が複雑であればあるほど、ピッキングでの開錠も困難になります。
ディスクシリンダーは、生産が開始された当時は最先端の鍵穴で、故障にも強かったことから、日本の住宅で爆発的に普及しました。
しかし内部構造が単純だったため、やがてピッキング犯に狙われるようになり、18年前にはピッキングによる被害が多発したのです。
そのため、今ディスクシリンダーを使っている方がピッキングに合わないためには、鍵穴をピッキングが困難なタイプのものに変える必要があります。
中でも一番おすすめなのが、「ディンプルシリンダー」という鍵穴です。
ディンプルシリンダーは鍵穴の内部構造が非常に複雑なため、ピッキングで鍵を開けるのが非常に難しく、防犯対策に最適なことから今では多くの住宅で使われています。
ディンプルシリンダーに対応する「ディンプルキー」は、表面に複数の丸いくぼみがある鍵で、それまでの鍵と違い複製が難しいことも特徴です。
自宅の鍵穴をディンプルシリンダーに変えたい場合は、鍵屋さんに注文しましょう。
ディンプルシリンダーとディンプルキー本体、工事費、出張費込みで、安いところなら1万円代で交換できます。
ただし、ディンプルキーならどれを選んでも大丈夫というわけではありません。
粗悪な作りのディンプルキーを使った場合、ピッキングされてしまう可能性もあります。
家の鍵を交換する時は、なるべく大手の信頼できる鍵屋さんに頼むのがいいでしょう。
ピッキングのしようがない!鍵を使わないドアの施錠方法とは?
ピッキングされない方法は、鍵をディンプルキーに変える他にもあります。
そもそも、なぜピッキングをされるのかと言ったら、玄関のドアに鍵穴が付いているからです。
ドアに鍵穴がなければ、ピッキングのしようがありません。
「鍵穴がなかったら、ドアに鍵をかけられないじゃないか」
そう思った方も多いことでしょう。
しかし、鍵や鍵穴を使わなくてもドアを施錠する方法もあるのです。
ここでは、その方法について紹介していきましょう。
「カードキー」や「リモコンキー」で鍵の開け閉めができる
「カードキー」とはその名のとおりカード型の鍵のことで、玄関ドアに取り付けた専用のセンサーにカードをかざすことで、鍵の開け閉めができる優れものです。
「SUICA」や「PASMO」などのICカードをかざすと扉が開く、駅の改札をイメージすると分かりやすいでしょう。
カードキーには、
- ピッキングされない
- 複製がしづらい
- 鍵を閉め忘れても、自動で施錠されるタイプが多い
といった防犯上のメリットだけでなく、
- 鍵の開け閉めが楽
- かさばらないから持ち運びに便利
など利便性が高いことも人気の秘けつです。
ただし、カードキーには
- 紛失しやすい
- カードを忘れて外に出ると、自動施錠で家に入れなくなる
といったデメリットもあるので、注意が必要です。
また、カードキーと類似した「リモコンキー」という鍵もあります。
使い方は車のリモコンキーと同様、玄関ドアに向かってリモコンのボタンを押すだけとこちらも手軽です。
暗証番号入力や指紋認証で鍵を開け閉めできる
その他に暗証番号を入力したり、指紋認証したりすることで、玄関ドアを開け閉めできるタイプの鍵もあります。
暗証番号式の鍵は、家の住人が自分で決めた数桁の数字をパスワードのように入力することで鍵を開けられ、ドアを閉めると自動で鍵が閉まります。
暗証番号を入力する際に誰かに見られる可能性もあるので、番号を定期的に変えると、より防犯性が高くなるでしょう。
また指紋認証式の鍵は、登録した住人の指紋で鍵の開け閉めができる優れもので、こちらもドアを閉めると鍵が閉まるオートロックです。
暗証番号や指紋認証で鍵を開け閉めする方法のメリットは、その防犯効果もさることながら、外出時に鍵もカードもリモコンも、何も持ち歩く必要がない利便性にあります。
これならカードキーのように紛失したり、外に持ち出すのを忘れて家から締め出されたりする心配もありません。
ただしカードキーやリモコンキーと比べて、暗証番号式のものは鍵の開け閉めに手間がかかりますし、指紋認証式の鍵は価格が割高です。
購入する場合はそれぞれの特性をふまえたうえで、自分に合ったものを選ぶのがいいでしょう。
ピッキングによる被害を防ぐための対策まとめ
平成12年、当時多くの住居の玄関ドアで使用されていた「ディスクシリンダー」は構造が単純だったことから、年間29,211件ものピッキング被害が相次ぎました。
それ以後、「ディンプルキー」を始め、防犯性能の高い鍵が多くの住居で使われるようになったことでピッキングの被害は激減し、平成28年には年間被害件数が58件まで減りました。
しかし被害が減ったとはいえ、まだディスクシリンダーを使っている住居もあります。
もし、あなたの家の鍵がディスクシリンダーのままなら、すぐに安全なディンプルキーに変えましょう。
またディンプルキーのほかにも、ドアの鍵の開け閉めに従来の鍵を使わないタイプの商品も販売されていますので、そのようなものに取り換えてもいいでしょう。
これだけ防犯性能の高い鍵が次々出てきているのなら、ピッキングの被害がピーク時から99.8%も減ったのも納得できますね。