防犯対策ガイド

個人のホームセキュリティとは少し違う、法人のホームセキュリティで気をつけておくべきこととは?

法人企業、特に新進気鋭のベンチャー企業はその組織の新しさや組織自体の若さ、さらにそのベンチャー企業だけが用いる独自の情報・テクノロジーを元に規模を拡大していくものです。そしてそんな新しい会社のスタートアップは、時期が時期だけに、なかなかセキュリティという部分には手が回らないと言ったことが多いのもまた事実です。そこで今回は、法人ホームセキュリティについて、防犯カメラの耐用年数や様々な防犯グッズの情報、そして気になる経費・減価償却周りについてもご紹介をしていきます。これから新しく法人をスタートアップする方、既にある法人でオフィスを開設される方、必見です。

 

 

法人のホームセキュリティの要、防犯カメラはネットワークカメラがおすすめ

 

まず法人のオフィスの防犯対策をするのであれば、一番最初に出てくるべきアイテムが防犯カメラです。この防犯カメラ、特にオフィスを借りたてのベンチャー企業は、多少スタートアップの時期にお金をかけてでも導入しておかなくてはならない重要なアイテムの一つです。

 

なぜならば、法人のホームセキュリティにおいて防犯カメラというのは一番効力が強く、また抑止力も高いことから「見せる防犯」ということで総合的に防犯効果が高いからです。

 

そしてその防犯カメラですが、何も最初から大掛かりなものを用意する必要はありません。それだとコストや手間がかかってしまいますからね。法人のホームセキュリティという形で警備会社から提供される防犯カメラを導入しても結構ですが、スタートアップの時期にはまず、ネットワークカメラというものを利用してみてはいかがでしょうか。

 

ネットワークカメラは事務所内のディスプレイに記録装置を接続して直接を確認することも可能ですし、インターネット上で映像を確認することもできるという仕上がりになっている製品が大多数です。

 

そしてその映像は決して警備会社に直通というわけではなく、自分たちで確認する必要があるものの、最近は動体感知や様々なアラーム機能がついているものが多いため、機能性という部分では必要十分、もしくはそれ以上の効果を発揮してくれます。

 

一昔前まではネットワークカメラはあまり画質も期待できず、機能についても満足のいく結果が得られないことが多いとされてきましたが、最近のネットワークカメラは進化していますので、まずはこちらを試してみると色良い結果が得られそうです。

 

オフィスの鍵は、可能であれば2〜3箇所のロックがおすすめ

 

続いてオフィスのセキュリティで重要なものとしてはキーロック、つまり鍵があげられます。

 

もし可能であれば、オフィスの入居しているビルなどから提供されている通常の鍵の他に、もう一つ補助錠、もしくはしっかりとしたロックを設置するのがおすすめです。

 

なぜならば、場合によっては入居の段階で鍵の交換が完了していない、もしくは不動産会社・ビルの所有者が最初から鍵の交換を念頭においていない(あるいは対応が後手後手になってしまう)ケースなどもあり、前の入居者もしくは過去の入居者と鍵が共有になってしまっている可能性も否定しきれないからです。

 

その場合は会社の事務所が入居した段階で合鍵を不特定多数の人間が持っているという可能性も否定しきれないことになり、これは防犯対策としてはあまり良くない状況です。

 

もう一つの理由としては通常こういったオフィスビルのキーロックというのは、よほどセキュリティのしっかりしているビルでない限り、一般的なセキュリティ強度の鍵が使われている可能性が高く、簡単に鍵を複製できてしまう可能性もあるからです。

 

そんな時にもう一つ会社側で独自に鍵を設置した場合、侵入者側の視点に立って考えるとオフィスに侵入できる確率が著しくダウンしますので、会社側から考えれば空き巣家情報漏洩などの心配も軽減されるというわけです。

 

ちなみに鍵の数は多ければ多い方がいいというわけでもなく、法人のセキュリティにおいては従業員など不特定多数の人間が鍵を持ち解錠・施錠を行うということを考えると、三つ以上のキーロックになるとどうしても人間の心理的に「鍵をかけることが面倒だ」という考えが広まってしまう危険性があります。そうなるとヒューマンエラーを誘発し、最終的に「鍵の数は多いが、面倒だったので実際に鍵はかかっていなかった」というケースが発生する可能性が高くなります。

 

そうなると本末転倒ですので、こと法人のセキュリティにおいては、鍵の数は多くても三つ程度にとどめておくのがベストなソリューションと言えます。

 

 

 

スマートロックは非常時電源などの確認がマスト

 

 

また最近流行りのスマートロックについては設定さえ間違わなければ、手元にあるスマートフォンが自動的にキーロックを解除してくれたり、スマートフォンを持った人間が会社の外に出ると自動的にキーロックがされたりなど、手間をかけることなく大変有意義に利用することができます。

 

しかし、スマートロックはその製品の性格上、オフィスに電気が供給されていない場合は利用できないケースが多いことから、少し注意が必要です。

 

万が一停電などの場合に非常用電源も落ちてしまい、全く利用することができなくなってしまった場合には製品によっては手動でロックを解除できないものも多数存在します。

 

そうなるとオフィスに缶詰になってしまうか、あるいはオフィスに全く入れないという状況になってしまうことも十分に考えられますので、スマートロックの導入については十分に導入する製品の検討が求められます。

 

 

法人のセキュリティ用品を購入する場合の経費処理は「10万円」が鍵

 

法人のセキュリティ用品を購入する場合は当然ですが、経費として計上することになります。

 

この経費などの取り扱いについては、スタートアップベンチャーの場合は特に社内リソースの関係で知識が追いつかず、また経営者自身もあまり経費周りについてピンと来ていないというケースが多いことから、この辺りの処理がごちゃごちゃになってしまうことも、よくあるケースです。

 

しかしそれではせっかくの法人スタートアップにおいて、後々経理処理において面倒なことが発生してしまう原因になります。

 

法人のセキュリティ用品の購入には様々な経費上のルールや取り回しの規定がありますが、原則としては10万円という金額が鍵になると考えて問題ありません。

 

 

防犯カメラの場合は設置費用なども全てコミコミで経費計上することに

 

一例として防犯カメラで考えてみましょう。

 

防犯カメラの場合はどのような規模感でシステムを導入するかにもよるものの、原則としては10万円以下の導入費用、もちろんこれは配線費用や設置費用なども含みますが、 とにかく「防犯カメラを会社に設置すること」をゴールとした場合、そのかかった費用の総額が10万円以下の場合は「備品費」として計上することが可能です。

 

ちなみに防犯カメラを法人で導入することによる減価償却についてですが、こちらは緊急時の社内一斉放送システムなども全てコミコミのセキュリティシステムを導入した場合には、償却年数6年、単純に防犯カメラとそのモニターのみを導入した場合には償却年数は5年となります。

 

領収書のもらい方については、原則的には工事費用込みの場合には、防犯カメラ設置費用として、というような形で切ってもらっておくと後々処理には困らなさそうです。

 

法人として利用する防犯カメラの耐用年数は5年程度

 

ちなみにネットワークカメラなどを含め、一般的に防犯カメラの償却年数は5年とされています。また、実際の利用における耐用年数は長くても5年程度、よく持って6年程度というのが相場となっています。

 

ただしこれは設置状況や運用状況にもよって大きく変わってきます。

 

例えば、

湿気・ほこりなどが極めて少なく、クリーンな状況で映像記録装置であるハードディスクなどにも負担をかけずに利用できる環境であれば、6年程度もつ製品でも、タバコの煙やその他ほこり、湿気などが多くハードディスクが傷みやすい状況、もしくは防犯カメラの本体が損傷を受けやすいような状況にある場合には当然、それよりも耐用年数は少なくなることが予想されます。

 

ということは、防犯カメラの取り扱いに十分に注意し、また記録装置の置き場所や衝撃などにも十分に気を配ることによって、ある程度耐用年数を償却年数である5年から6年に近づけるということは決して不可能ではないということになります。

 

防犯グッズの中でも抑止力が高くその分だけ導入費用も少々高めの防犯カメラですから、出来る限り長い期間耐用年数を持たせるようにしたいところです。

 

 

まとめ

このように法人のホームセキュリティというのは、新進気鋭のスタートアップベンチャーを筆頭に導入において注意しておきたい・押さえておきたいポイントは個人宅のそれとは少し違う、ということがおわかりいただけたのではないでしょうか。事務所の鍵は出来る限り自分たちでもひとつ、もしくは二つ設置するようにして、防犯カメラについては最初のうちはネットワークカメラなどの導入から検討し、さらに防犯カメラについては償却年数6年、実際の耐用年数は環境が良ければ5年から6年ということについても、抑えておきたいところです。