一戸建ての窓の中で上下に開口するスライド式窓という種類があります。
海外では昔から使用されているので、日本でも輸入住宅や洋風の家でもよく見かけるようになってきました。
スッキリとした形状とおしゃれな外観でとても人気がある窓です。
しかし、そのおしゃれな外観を損ねないように面格子を付けることが少なく、近年の空き巣被害でも侵入口として被害が報告されています。
空き巣被害の7割を占める窓のガラス破りでは、この面格子のないスライド式窓も狙われる対象になります。
元々、窓の種類の中でも価格が高めになるスライド式窓、壊されてしまうと被害も大きくなります。
では、スライド式窓の防犯対策はどうすればいいのでしょうか?
その性質や形状なども合わせてご紹介します。
デザインもおしゃれで人気の高いスライド式窓のメリットとデメリット
スライド式窓とは、窓の溝に沿って上や下、または上下同時にスライドして開口する窓のことで上げ下げ窓とも呼ばれています。
下から上に片方しか開口しないタイプはシングルハング、上か下を選んで開口できるのはダブルハング、上下同時にスライドして開口するタイプはバランス上下窓と呼ばれています。
バランス上下窓タイプは、一戸建ての勝手口によく使われているので、イメージしやすいのではないでしょうか?
上や下に片方のみスライドして開くタイプは、見た目もおしゃれなため洋風の家や輸入住宅に取り入れられていることが多いです。
風を取り入れるのは、窓面積の約半分となり縦長に窓枠が取れる場所に設置しやすい窓と言えます。
では、とてもおしゃれな外観や使い方が人気のスライド式窓には、どんなメリット、デメリットがあるのか詳しく見てみましょう。
メリット
- デザインがおしゃれ
上下に片方開くタイプのスライド式窓は、デザインがおしゃれで大変人気があります。
横幅が広いタイプはほとんどなく、同じ大きさのスライド式窓を間隔を開けながら横に並べて設置することが多いです。
- 気密性が高い
スライド式窓は、その形状から気密性が高く室温を大きく変えることは少ない窓と言えます。
他のタイプの窓にはスムーズに開口するために戸車がありますが、スライド式窓には戸車はないので隙間が出来にくく気密性と遮音性にも優れています。
- バランス上下タイプは上と下から同時に換気ができる
一戸建ての勝手口によく使われるスライド式窓は、上下が同時にスライドできるので、換気しやすい面があります。
また、固定の網戸もあり鍵を閉めた状態で開口できるため、安心して室内に風を取り入れることが出来ます。
デメリット
- 窓の開け閉めがしにくい
スライド式窓の開け閉めは、他の窓と違い上へガラスの建具を持ち上げるイメージなので、重さがあり開閉しにくさがあります。
また、建具の重さで自然に閉まってくる不具合も起こりやすい窓です。
- 掃除がしにくい
スライド式窓の掃除の仕方が分からない方は設置している方の中でも案外多いものです。
網戸が固定されているタイプなどは、上下がスライドで重なる部分の隙間の掃除がしにくく、上下片方の窓を外すこともできますが簡単ではありません。
- ツマミがないタイプは防犯面に対して心配が残る
スライド式窓を開口する際に左右のツマミをつまんで開けるタイプとツマミがないタイプなどロック部分も種類があります。ガラス中央にあるクレセントと呼ばれる鍵だけでは、ガラスを割られたらすぐに侵入されてしまいます。
空き巣に狙われないためのスライド式窓の防犯対策
デザインもおしゃれなスライド式窓ですが、窓の中でも外から開けにくい構造で防犯面は優れているという情報もありますが、窓の防犯対策に絶対はありません。
実際にスライド式窓から空き巣に侵入されている方もいるので、安心せずにしっかりとした対策を取っておくべきです。
一戸建てに使われているスライド式窓の勝手口、鍵を閉めたままでも固定の網戸と面格子も付いているので安心して開口したままにしそうですが、大変危険です。
網戸は簡単に破れ、面格子の隙間からガラスを割れば簡単に開錠されてしまいます。
また上下どちらかを開口できるスライド式窓でも、クレセント部分が中央にあるタイプが多く、ツマミなどがないタイプだとクレセント部分のガラスを割って開錠し、こちらも簡単に空き巣の侵入口となってしまうのです。
ではこのスライド式窓に適した防犯対策はどんなものなのでしょうか?
おすすめの防犯対策をご紹介します。
侵入時間を手間取らせるための割られにくい防犯ガラスに付け替える
一戸建ての侵入方法の約7割はガラス破りです。
このガラスを簡単に破られないようにしたものが防犯ガラスで、ガラスの中間層に樹脂層などを入れて割れにくくし万が一、割れてしまっても大きな音がするように設計されています。
スライド式窓の特徴でもあるデザイン性を損なうことなく、普通のガラスの代わりとして取り付けできます。
また防犯ガラスの中間層に特殊フィルムを入れてあるものは、窓の破壊時にガラス片が飛び散りにくく、住人が飛び散った破片で二次被害とならないような工夫がされています。
防音や視線を遮る乳白色タイプ、透明でも紫外線を99%カットしてくれるものなど種類も豊富です。
注意しておきたいことは、よく聞くペアガラスや強化ガラスは防犯ガラスではないということです。
割れにくい構造ですが、中間層に樹脂層や特殊フィルム、ポリカーボネート板などを挟んでいる防犯ガラスを選ぶようにしてください。
一戸建ての1階スライド式窓には付けておきたい面格子
こちらは、外観のデザイン性は変わってきますが、取り付けておくと空き巣の抑止効果があります。
洋風や輸入住宅のような外観のデザインを重視している方には、洋風の面格子もたくさんあります。
アイアンなどの素材で、デザイン性もよく面格子自体がおしゃれなのでおすすめです。
またアルミ素材は軽く安価で販売されていますが、防犯の性能は弱く簡単にこじ開けられたりするので注意が必要です。
外から面格子のネジが出ているものもドライバーで外されてしまうので、ネジ山はボンドなどで隠してしまうか、見えない構造のものを選ぶようにしたいですね。
どんな面格子と言え、外されてしまう危険はあるので空き巣の侵入を手間取らせるという観点から設置をしておくことが重要です。
どうしても面格子に抵抗がある方はシャッターを取り付け、家を留守にする時などは忘れずに降ろしておく方法もあります。
スライド式窓用の補助鍵を取り付けて安心を増やす
スライド式窓にも補助鍵を取り付けられます。中には少し開口したまま鍵が出来るものもあり種類も豊富です。
空き巣は侵入に時間がかかるほど諦めると言われているので、補助鍵も多い方が防犯効果も更に高くなります。比較的安価なので一戸建ての1階のスライド式窓には必ず付けておきたいアイテムです。
また、勝手口などでよく使われているスライド式窓は、面格子付きが多いですが固定の網戸は焼き破られ、格子の隙間からガラスを割れば開錠は簡単です。
面格子で安心してしまいそうですが、この勝手口のスライド式窓にも補助鍵は必要です。
防犯ガラスや面格子を取り付けていない場合は、スライド式窓の上下に補助鍵を付け、本体のクレセントと合わせて3ロックはしておきたいですね。
他にも窓の防犯対策には、開口したらブザーが鳴るセンサーなどとても種類が豊富なので組み合わせておくとより安心です。
まとめ
いかがでしたか?
気密性や遮音性もあり、すっきりした形状でおしゃれなスライド式窓は、その外観から面格子を取り付けるべきか悩む方も多い窓です。
防犯対策のためには設置しておきたいですが、どうしても付けられない場合は防犯ガラスや補助鍵などを組み合わせてしっかりした防犯対策をしておきたいですね。
また面格子を取り付けた場合も、補助鍵やその他の窓の防犯グッズを合わせてより安心を増やす工夫をしてみてくださいね。
空き巣被害件数は、少なくなっても決してなくなることはありません。
空き巣は、住人の気の緩みや隙を狙って侵入してくるので、被害に合わないためにも防犯対策を強化しておきましょう。