空き巣などの侵入窃盗の認知件数は、警察庁住まいる防犯110番によれば平成14年度が最高で30万件を超えていました。
その後減少傾向にあり、平成27年度には46091件と平成14年度のピーク時に比べると約15%程度の件数になっています。
空き巣が減少しているならあまり心配いらないと思われる方もいらっしゃるとは思います。
しかし、依然として一日に換算すると約120件の空き巣被害が全国で起こっていることになります。
このような空き巣被害はまだまだ他人事ではなく、自宅を空き巣に狙われないようにきちんと防犯対策をしておく必要があります。
ここでは、家を空き巣被害から守るセキュリティ対策について解説していきます。
セキュリティされている家とはどんな家のこと?
セキュリティされている家とは、きちんと防犯対策がなされている家の事です。
きちんと施錠に気を使っている家であることはもちろん、それ以外にも自分でできる防犯対策を施してあったり、ホームセキュリティ会社と契約をしていたりすることで、家のセキュリティ対策を万全にしてある家の事です。
そのような家は空き巣もターゲットにすることは少ないでしょう。
家のセキュリティ対策は空き巣に対する「罠」であってはいけません。
空き巣に対する「警告」や「威嚇」である必要があります。
なぜならセキュリティ対策は空き巣を捕まえることではなく、空き巣に入られないようにすることが本来の目的だからです。
ですので、家の外部から見てセキュリティ対策が施されていることがある程度空き巣に分かるようにしておくことが大切です。
ホームセキュリティ会社のステッカーなどがその最たるものと言えます。
自分でできる防犯対策によって家のセキュリティを強化する
空き巣は下見を行い、侵入しやすく逃走しやすそうな家に目星をつけて犯行に及びます。
どのような家が空き巣のターゲットにされやすいのでしょうか?
それは防犯対策に対する意識が低く、セキュリティに隙がある家です。
在宅時や、ちょっとしたゴミ出しなどの外出時に無施錠のままにしておくような家は特に空き巣に狙われやすい傾向があります。
ある元空き巣の証言によれは、10分あれば二部屋を物色できるとのことです。
金目のものがあるのは寝室やリビングが多いのでその二部屋を物色すれば十分成果を上げることができます。
ゴミ出しのついでに近所の人とちょっと立ち話をしている間にも、空き巣は犯行に及ぶことができます。
ここでは自分でできる防犯対策について解説していきます。
全ての部屋の窓や玄関ドアの施錠を確実に行う
外出時にはすべての窓と玄関の施錠を確実に行いましょう。
短時間の外出でも例外はありません。
空き巣は下見の時点でターゲットにした家の住人の生活パターンを把握していることが多く、ちょっとした外出時も狙われる可能性があります。
また、一戸建ての場合、2階の窓もきちんと施錠しておきましょう。
庭などに足場になるものがあれば、空き巣は簡単に外側から2階に上ることができます。
この時2階の窓が無施錠であれば、簡単に屋内に侵入することができるからです。
集合住宅で、2階以上の物件に住んでいる場合でも、必ず窓の施錠を行うようにしましょう。
3階以下の低層階や最上階ではベランダなどの窓から空き巣が侵入することは珍しくありません。
一番簡単にできる防犯対策は無施錠で外出しないということです。
これだけで家のセキュリティ対策になります。
出入りが可能な窓には防犯フィルムと補助錠でガラス破り対策
空き巣は施錠された窓から侵入するとき、ガラス破りという手口を使います。
窓のクレセント錠の近くを手が入る程度に割り、そこから手を入れて開錠し、室内に侵入するという手口です。
このガラス破りによる空き巣の侵入を防ぐためには、防犯フィルムがおすすめです。
この防犯フィルムを窓ガラスに貼っておくと、窓ガラスが割れにくくなり、空き巣がガラス破りを行うのに時間がかかるようになります。
空き巣はトイレの窓のような小さな窓からも侵入することがあるので、このような窓にも忘れずに防犯フィルムを貼っておくようにしましょう。
また、当然ですが出入りがしやすい大きな窓がガラス破りのターゲットにされることが多いので、このような窓には防犯フィルムを貼るとともにクレセント錠から離れた場所に補助錠を付けることをおすすめします。
補助錠を付けて侵入のためにガラス破りを行わなければならない箇所を増やすことで、空き巣に屋内への侵入をあきらめさせることができます。
この補助錠の中には、窓を閉めると自動的に施錠される商品もあるので、このような商品を選べば、無施錠の状態になることがなく、一石二鳥の効果を得ることができます。
空き巣の侵入が予測される場所に防犯カメラを設置する
空き巣は顔や身体的特徴を知られるのを極度に嫌がります。
ですので、防犯カメラを空き巣が侵入しやすそうなところに設置するのは家のセキュリティ上非常に効果的です。
一口に防犯カメラと言っても、ダミーの物から、録画ができるものまでさまざまな種類があります。
価格にも性能によって大きな違いがありますが、たとえ高額であっても録画ができるタイプの防犯カメラを設置することをおすすめします。
ダミーカメラでも十分空き巣に対しての威嚇にはなりますが、実際に犯行に及ばれた場合には役に立たないからです。
これ以外にも自宅のWi-Fiを通してスマホなどでリアルタイムに自宅の様子を確認できるものもありますが、このような商品も空き巣に対しては威嚇程度の効果しか期待できません。
録画機能が付いた防犯カメラを設置することで、空き巣の顔や服装、身体的特徴や犯行に及んだ時間などを正確に記録できるので、その後の警察の捜査に役立てることができます。
しかし、防犯カメラの画像は個人情報に当たるため、個人情報の不適正な取得の禁止などの法律上の義務が課されます。
また、防犯カメラに近隣の住宅の様子まで写るように設置してしまうと、近隣住民とのトラブルのもとになってしまいます。
防犯カメラを設置する際には、細心の注意を払うようにしましょう。
ホームセキュリティ会社にセキュリティの強化を依頼する
自分でできる防犯対策には限度があります。
特に自分で家に防犯対策を施す時間がない人や、防犯グッズの設置が苦手な人はホームセキュリティ会社にセキュリティシステムの構築などを依頼することをおすすめします。
防犯カメラの設置など、専門的な知識や大掛かりな作業が必要な防犯対策も、ホームセキュリティ会社に依頼することで、トラブルを防ぎながら適切な場所に防犯カメラの設置を行うことができます。
では、ホームセキュリティ会社はどのような方法で家の防犯対策を行ってくれるのでしょうか?
ホームセキュリティ会社の基本的なサービスの中には、不審者が侵入した場合、家に設置したセンサーが反応し、ホームセキュリティ会社に連絡が行き、ガードマンが家に急行してくれるというものがあります。
それ以外にもセンサーが煙や熱により火災を感知して119番に通報してくれるサービスや、非常ボタンを押すことでガードマンを自宅に呼ぶことができるサービスなどが基本サービスの内容となっている会社が多いようです。
この場合月々の利用料は会社によって異なりますが、3,000円程度が相場です。
ホームセキュリティ会社と家のセキュリティ契約をすることはメリットばかりのように思えますが、実はデメリットもあります。
ホームセキュリティ会社と契約をしている場合、窓や玄関にその会社のステッカーを貼ることが多いのですが、そのステッカーが逆に空き巣を呼び込む要素になることがあります。
それはホームセキュリティ会社のステッカーを貼ることで、「この家は防犯にお金をかけられるほど裕福な家だ」と空き巣に認識される場合があるからです。
空き巣が入念な下調べの末、侵入から犯行、逃走までをガードマンが到着する前に終わらせてしまうということもあります。
まとめ
家の防犯対策には自分で行えることと、ホームセキュリティ会社に依頼するものの二通りの方法があります。
自分で行えるものは家の施錠の徹底や窓のガラス破り対策、ホームセキュリティ会社に依頼するものとしてはセンサーによる不審者の侵入の感知とその場合のガードマンの急行です。
自分で行える防犯対策はいくつかありますが、よほど手先が器用な人が行い、万全を期していても完ぺきとは言えません。
ホームセキュリティ会社にこれらの防犯対策を依頼することで、さらに隙の無い防犯対策を行うことができます。
また、ホームセキュリティ会社と見守り契約等を結んだ際には、その会社のステッカーを玄関近くなどに貼ることが多いのですが、それが逆に空き巣を呼び込む恐れがある事を忘れないようにしましょう。
家の防犯対策の最大の目的は空き巣に対する「威嚇」と「警告」であって、決して空き巣を捕まえることではありません。
家のすべての防犯対策は、空き巣に侵入をあきらめさせるための物であることを忘れないようにしましょう。