「39,249件」、この数字が何のことだか分かりますか?
実はこの数字、平成28年に発生した、空き巣など住居に侵入しての窃盗事件の件数なんです。
こうした住居に侵入しての窃盗事件の発生件数は平成14年をピークに毎年少しずつ減ってはいますが、それでもまだ1日平均して107軒もの住居が被害にあっています。
なかでも特に気をつけてほしいのが、一軒家にお住まいの方々です。
なぜなら住居への侵入窃盗事件の被害のうち、7件に5件は一軒家で起こっているからで、これはマンション・アパートなど集合住宅の約2.5倍もの被害件数になります。
今回は、一軒家にお住まいの方々が空き巣などの泥棒に入られないために、その防犯対策をご紹介していきます。
空き巣の一軒家への侵入方法!最も多いのは鍵のかけ忘れ
空き巣などの侵入窃盗犯は、どうやって家の中に入ってくると思いますか?
真っ先にピッキングや窓を破っての侵入を思いついたかもしれませんね。
しかし空き巣で一番多いのは、意外にも鍵のかかっていないドアや窓から入ってくる侵入方法なのです。
警察庁のデータでは、平成28年に起きた侵入窃盗のうち、この鍵のかかっていない出入口から侵入するケースが、一軒家の場合46.5%と実に約半数を占めていました。
このケースは一軒家に限らず、マンションやアパートでも同様に最も高い割合を占めています。
出かける時に玄関の鍵を開けっぱなしにするという人は少ないでしょうが、空き巣の侵入を防ぐために外出する際は玄関だけでなく、庭やベランダなどの窓の鍵をしっかり閉めたことを確認するのが対策の第一歩です。
空き巣の一軒家への侵入経路で一番多いのは窓!窓の防犯対策で被害にあうリスクはグッと減る
空き巣などの侵入窃盗犯の侵入経路として一番多いのが「窓」です。
平成28年の侵入窃盗事件のうち、一軒家では窓からの侵入が56.5%と半数以上を占めていることが分かっています。
さらに侵入窃盗犯の侵入方法で、「鍵のかかっていない出入口から入る」ケースに次いで多いのが窓に鍵がかかっていても窓の「ガラスを破って侵入する方法」です。
これは全体の36.6%を占めています。
特に庭やベランダなどにある「掃き出し窓」(一番下が床と同じ高さにある広い窓)には注意が必要です。
なぜなら高い位置にある狭い窓と比べて、広くて低い位置にある掃き出し窓からの侵入は周囲から目立たないうえに、高い所まで登らなくても良く、侵入が容易だからです。
空き巣に窓のガラスを破られて家に入られた場合、この掃き出し窓が侵入経路だったというケースがほとんどだと言っていいでしょう。
逆に言えば、この掃き出し窓の防犯対策さえしっかりとっていれば、空き巣に侵入される確率をかなり減らせるということにもなります。
掃き出し窓の防犯対策については、後ほど詳しく説明します。
侵入窃盗犯の窓からの侵入手口とその防犯対策は?
空き巣などの侵入窃盗犯は、クレセント錠(窓の内側に付いている三日月型の錠)の周辺の窓ガラスを破り、そこから手を入れて鍵を開け、家の中に入ってきます。
窓ガラスの破り方には、おもに以下3つの方法があります。
- 打ち破り…バールや金づちなどの工具を使って、窓をたたき割る方法です。ガラスを割る時に大きな音がするため、あまり使われることはありません。
- こじ破り…マイナスドライバーを窓枠とガラスの間に力強く突き差すと、ガラスには簡単にヒビが入ります。これを3回、それぞれの箇所を線で結んだ時に三角形になるように繰り返すと、その部分のガラスを簡単に外すことができます。ガラスを割る時の音が小さいので、打ち破りよりも有効な手段と言えるでしょう。
- 焼き破り…バーナーなどでガラスをあぶる方法です。ガラスは熱に弱いため、火であぶられた部分は簡単に破られてしまいます。焼き破りもこじ破り同様、ガラスを破る時に大きな音がしないのも特徴です。
では次に、上記のような方法でガラスを破られないための、防犯グッズを紹介していきましょう。
防犯フィルムはガラス破りの防犯対策にはあまり向かない
窓ガラスを破られないようにするための対策として、どんな方法が思いつきますか?
きっと多くの方が、「防犯ガラス」を思い浮かべたのではないでしょうか。
確かに分厚い防犯ガラスであれば、打ち破りやこじ破りで窓を破ることは簡単ではありませんし、耐熱性のあるガラスなら焼き破り対策もバッチリです。
しかし防犯ガラスは非常に高価であるため、簡単には購入に踏み切れないのではないでしょうか。
そこで防犯ガラスの代わりに、多くの人たちに使われているのが防犯フィルムです。
防犯フィルムは高い費用を払って交換しなくても、今使っている窓ガラスに貼るだけでガラスを破られにくくする防犯グッズで、リーズナブルに対策できる優れものです。
しかし防犯フィルムはあくまで窓ガラスの強度を少し上げるだけで、打ち破りやこじ破りに対して充分な効果を発揮するものではありません。
せいぜい空き巣が家の中に入ってくる時間を少し伸ばすだけのものだと考えてください。
窓用の防犯ブザーを付けている一軒家は空き巣のターゲットから外れられる
窓を破られて鍵を開けられたとしても、空き巣が家の中に入ってこなければお金や貴重品を盗まれることもありません。
そこでおすすめしたいのが窓用の「防犯ブザー」です。
窓に取り付けるタイプで、窓が開いたり、振動したりすると大きな音が鳴ります。
もし窓を破られても、窓を開けて大きな音が鳴れば近隣の住民たちに気付かれるため、空き巣はすぐに逃げていく可能性が高いです。
さらに窓用の防犯ブザーの防犯効果はそれだけではありません。
外から見える位置に取り付けておけば、空き巣から狙われるリスクが一気に減るのです。
空き巣が狙うのは「簡単に侵入できそうな家」、つまり「防犯意識の低そうな家」です。
窓に防犯ブザーが取り付けてあるような家を、空き巣がわざわざ狙うようなことはありません。
あなたもぜひ、窓の外から見える位置に防犯ブザーを取り付けて「この家は防犯意識が高い」ということを空き巣にアピールしましょう。
防犯対策バッチリ!窓の錠に鍵をかけられる鍵付きクレセント錠
クレセント錠は掃き出し窓などの開け閉めに使われる三日月型(英語でクレセント)の錠のことを言います。
窓を破られたとしても、このクレセント錠を開けられなければ空き巣は家の中には入って来られません。
空き巣が簡単に鍵を開けられるのは、窓のクレセント錠がつまみを下に下げるだけで内側から簡単に開くものだからです。
では、クレセント錠が内側から開けられなかったらどうでしょうか?
空き巣は窓を破っても、家の中に入ることはできませんよね。
つまり窓の錠が簡単に開かないようにすれば、空き巣は家には入って来られないのです。
そのためには、窓のクレセント錠を鍵付きの錠に取り換えてしまうのが効果的です。
鍵付きのクレセント錠であれば、内側からでも鍵がなければ窓を開けることはできません。
空き巣は窓ガラス全体を完全に壊しでもしないかぎり、家の中に入るどころか窓を開けることすらできなくなるのです。
取り換えるタイプのクレセント錠には、鍵付きのもののほか、ダイアル式のクレセント錠も販売されています。
鍵の管理が面倒だという方は、ダイアル式を試してみてはどうでしょうか。
一軒家の敷地内に入られないようにするためには?
ここまで、空き巣に窓から家の中に侵入されないための対策を紹介してきました。
これらの対策は一軒家に限らず、空き巣に窓から侵入されることの多い3階以下のマンションやアパートにも通用する非常に有効な方法です。
しかし一軒家の場合、まず窓がある庭やベランダなどの敷地内に空き巣を入れないようにすることが理想です。
ここからは、空き巣が敷地内に入りづらくなるようにするための対策を紹介していきます。
空き巣の窓からの侵入を防ぐ対策と並行して行いましょう。
一軒家に住んでいる人は近隣の住民と協力して防犯対策をとろう
空き巣は犯行におよぶ際、いきなり適当な家を見つけて侵入することは少なく、ほとんどの場合、事前に下見を行うことが多いと言われています。
この時に防犯意識が低そうだったり、人通りが少なかったり、死角があったり、留守が多かったりなど、侵入しやすそうな家を探します。
一方で都市防犯研究センターのデータによると、空き巣が犯行を諦めた時の理由として一番多いのが「近隣の住民から声をかけられた」ということです。
自治会で防犯パトロールを行ったり、近隣住民同士で「怪しい人を見かけたら声をかけよう」と決めごとをしたりすれば、空き巣に下見の段階で「この地域の家に侵入するのはやめておこう」と思わせることができます。
そうなれば、その空き巣はあなたの家の敷地内に入るどころか、二度とあなたの住む地域を訪れることはないでしょう。
これはあなたの家だけでなく、あなたの周りの家も一緒に被害から守れる方法です。
ぜひ近隣住民と協力して空き巣を撃退しましょう。
センサーライトで空き巣を一軒家の敷地内に近づかせない
自治会で防犯パトロールを行ったり、近隣住民が怪しい人に声をかけたりする方法は日中には有効ですが、深夜に行うことはできませんよね。
しかし空き巣があなたの旅行中の隙を狙って、深夜に家に侵入してくる可能性もあります。
また侵入窃盗には空き巣の他にも、「忍込み」という住人が寝ている隙を狙った犯行もあるのです。
侵入窃盗犯を家の敷地内に入れないためには、日中に行う近隣住民と連携した防犯対策の他に、こうした深夜帯の防犯対策も同時に行う必要があります。
この深夜帯の防犯対策にうってつけなのが「センサーライト」です。
センサーライトを家の外壁に取り付ければ、家の前を人が通った時にライトが点灯します。
上述したように侵入窃盗犯は防犯対策のしっかりした家を嫌うので、センサーライトを取りつけていない家と比べて、敷地内に入られるリスクはグッと低くなるでしょう。
近隣住民との協力と並行して行えば、あなたの家は昼も夜も、空き巣などの侵入窃盗犯に敷地内に入られる確率が大きく減ることになるのです。
一軒家を空き巣から守るための防犯対策まとめ
一軒家の侵入窃盗の被害件数はマンション・アパートなど集合住宅の実に約2.5倍におよびます。
空き巣の侵入方法で1番多いのは「鍵のかけ忘れ」によるものなので、出かける時は玄関だけでなく、裏口や窓などの施錠をしっかり確認するようにしましょう。
鍵の閉め忘れに次いで多いのが「窓ガラスを破って侵入してくる方法」です。
窓ガラスを破っての侵入の対策には「窓用の防犯ブザー」と「鍵付きのクレセント錠」が適しています。
また、そもそも空き巣に敷地内に入られないようにするための対策もとっておくと、より安心です。
昼は近隣住民と協力して怪しい人に声をかけるなどして、夜は「センサーライト」を使って空き巣を家に近づかせないようにしましょう。
窓の防犯対策と敷地内の防犯対策、この2つを並行して行えば、あなたの家が空き巣の被害にあう確率は驚くほど低くなるでしょう。